公開当時、社会人になりたてで少し病んでいた時期がありました。
それでも力を振り絞って映画館に足を運んだのがダークナイトで、あの日のことは今でも忘れられません。スクリーンの中のバットマンも、ずっと悩んでいたので。
バットマンは最強のヒーローではありません。超能力もなく、生身の人間が鎧をまとって戦っています。しかも戦いながらずっと葛藤しています。大切な友人、守ってきた会社、自分の信念。何かを守ろうとするたびに何かを失いそうになる。それでも間違いながら、傷つきながら、前に進んでいく。
あの頃の自分に重なる部分があって、静かに泣いていた記憶があります。
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映像と音の話も少しさせてください。
主人公ブルース・ウェインの自宅には、さりげなく美しいデザインの家具やオーディオ機器が置かれています。富裕層の象徴として選ばれているのですが、機能とデザインが高い次元で両立したプロダクトたちが、ブルース・ウェインという人物の美学とぴったり重なっていてニヤッとしました。わかる方にはわかる、という種類の静かな嬉しさです。
バットモービルとバットポッドの存在感も圧倒的でした。以前のシリーズはどこかコミックから飛び出してきたような華やかさがありましたが、このシリーズは違います。軍用車両に近い無骨さと重量感があって、エンジン音や走行音に思わず前のめりになる瞬間があります。音響の良いスクリーンで観ると、低音の迫力がまったく別物です。できれば映画館で体感していただきたいです。
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悩んでいる方に、特に観ていただきたい映画です。
答えをくれる映画ではありません。ただ、間違えながらも前に進む姿を見ていると、なぜか不思議と立ち上がれる気がしてくる。そういう映画だと思っています。
疲れた夜に、よかったらぜひ。
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